WWEネットワーク、2016年1月5日から日本でサービス開始に伴う弊害と心配事

WWEネットワーク

本国アメリカを始め英語圏を中心に昨年からサービス開始となっていた「WWEネットワーク」が、2016年1月5日(火)より日本でもサービス開始となるようです。

ただ、いろいろ情報を整理していくと、諸手をあげてバンザーイ! とはいかないようです。

料金について

2015年まで、日本でPPV(ペイ・パー・ビュー)大会を視聴するためには、「スカパー」「JCOM」「ニコニコ動画」「DMM.com」などの選択肢がありました。

スカパーでPPV大会を見る際には、個別の大会毎に視聴料金を支払う他に、「スペシャルリングサイド」というパッケージ商品を購入すれば、年間全てのPPV大会を視聴できる上に「ホール・オブ・フェイム」などの日本未放送番組を視聴できるという特典が付いていました。

「スペシャルリングサイド」2015年版のお値段は17,280円(税込)でしたが、スカパーに加入していなければ当然ながら視聴できないため、別途スカパーの基本料金などが必要になります。

私はスカパーに加入しておらず、JCOMにも入っていないので、2015年のPPVは全てDMM.comで個別にPPV大会を購入し、ストリーミング再生をPCで視聴していました。PCをお持ちの人であれば誰でも視聴できるメリットがある一方、パッケージ商品のような割引も特典もありません。

DMM.comですべてのPPV大会を個別購入した場合の年額は 27,000円(税込)でした。

2016年から開始される「WWEネットワーク」は本国アメリカと同じ「9ドル99セント」という格安な価格で提供されるようです。日本公式サイトによれば、現時点での為替相場などから月額が約1,232円になるだろうとのこと(為替の変動により価格も変動します)。

月額1,232円とすると、年間に換算すれば14,784円となります。これはDMM.comで個別に購入するよりも安いだけでなく、スカパーのパッケージ商品「スペシャルリングサイド」よりも更に安い価格です。そしておそらく、本国アメリカと同じように最初の1ヶ月は無料で視聴できるのではないかと。(未確認です)

スカパーでしか見られなかった特典の「ホール・オブ・フェイム」「トリビュート・トゥ・ザ・トゥループス」もWWEネットワークで放送されるでしょうし、WWEネットワークのオリジナル番組、今まで日本では視聴できなかった「トータル・ディーバズ」「ストーンコールド・ポッドキャスト」などの番組、さらには過去のPPVや名場面集、各スーパースターの特集番組、WCWおよびECWの吸収合併で買い取ったWWE以外の団体の名試合集などの映像が、追加料金を払うことなく月額のみで全て、いつでも好きな時に視聴可能となります。

これだけを見れば価格としても最安値ですし、膨大な数の映像集を視聴できるわけですので、ファンとしては喜ぶべきことです。

が、そう単純な話でもありません。

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すべて英語放送、日本語字幕なし

サービス開始時点で、WWEネットワークが提供するすべての映像には日本語字幕が付いておらず、英語音声のみでの視聴になるとのことです。英語に堪能な人であれば問題ないですが、そうではないWWEファンは困りますよね。

WWEは試合だけでなく、バックステージでの選手あるいはエグゼクティブの会話が重要なカギを握ることが多々あります。突然誰かが裏切ってヒール転向した時、直前の控室での言動が伏線だったんだな、というのも日本語字幕がなければ理解できず、ストーリーを追うこともできません。

最新のPPVであれば、そこまでのストーリーが「J SPORTS」で放送されているレギュラー番組(日本語字幕版)を見ていれば理解できているはずなので、試合内容と結果さえ分かれば良いという場合があるかもしれません。しかしPPVの放送内で誰かと誰かが口論してたら、内容が知りたいですよね。それがストーリーに関連してくるのは間違いないわけですから。

過去のアーカイブ映像集にしても、試合映像が中心のものであれば日本語字幕が無くてもあまり気にならないかもしれません。nWoやスティングが大暴れしてたWCWの絶頂期や、過激な試合でコアなファンの多かったECWの映像は、ただ映像を見るだけでも満足できそう。

しかし、HBKとヒットマンが「モントリオール事件」を述懐して口論する映像特集や、ストーンコールドのポッドキャスト、さらには「トータル・ディーバズ」もそうですが、トーク中心の番組の場合は話している英語の内容が分からなければ何一つ理解できず、面白さゼロになってしまいます。

現時点で」日本語字幕の対応は行われません、という注釈に「現時点ということは、将来的にはすべて日本語字幕が付くのでは」と楽観視しているファンもいるようですが、なんせ数が膨大ですからね。そうそう簡単に日本語字幕の対応は行き届かないと思います。

せめて最新のPPVだけでも、初回放送の時に字幕がつかないのは仕方ないとして、たとえば1週間後から日本語字幕付きで視聴できますよ、という風にしてもらえれば、料金は最安値なのですから加入する価値は大いにあると感じます。

WWEネットワークが日本語字幕に対応しない場合、それでも字幕でPPVを楽しみたいのであれば「AmazonなどでDVDを買う」か「DMM.comなどでDVDをレンタルする」しかありません。

WWE関連のDVDレンタルで最も品揃えが充実してるのはDMM.comなのですが(なので当サイトでもDMM.comのレンタル情報を掲載しています)、2015年のレッスルマニア31を最後にWWEのPPVに関するDVDはレンタルが開始されておらず、販売だけの取り扱いになってしまっています。

※TSUTAYAのネットレンタル「DISCAS」も調べたところ同じですね。レッスルマニア31以降のPPVはレンタルされていません。

DMM.comに問い合わせたのですが、「レンタルするかしないかは当社で決定します」みたいな、回答になっていないような回答しか得られませんでした。これもよく考えたらWWEネットワークの影響なのかなあ。新作のDVDレンタルはもう無いのかもしれません。

J SPORTSの放送内容が改悪されます

WWEネットワークの日本語字幕対応よりも、むしろコッチのほうが深刻じゃないかなあ。

日本では現在、CSチャンネルの「J SPORTS」でRAW、スマックダウン、NXTのレギュラー番組を視聴することができます。「J SPORTS」はスカパー、JCOM、BBIQなどのCS放送やケーブルテレビに加入していれば視聴できます。

NXTは数年前に日本での放送が打ち切られたものの、ヒデオ・イタミ(KENTA)のWWE入団を機に日本放送が再開され、現在はアスカ(華名)も入団して日本のプロレスファンにも注目される番組となっていました。

「J SPORTS」はWWEと放送契約を交わしており、2016年も引き続き放送契約を締結したと報道されましたが、WWEネットワークの日本サービス開始に伴い、おそらく放送条件の変更を求められたようで、2016年から放送内容が残念な方向へと変更されてしまいます。

★RAW(日本語字幕放送)の変更内容

RAWは「#1179」放送まで現状通り3時間放送ですが、1月14日初回放送予定の「RAW #1180」より放送時間が2時間に短縮されます。

放送日程は今までと変更なく、初回放送は木曜の午後10時30分からです。

★スマックダウン(日本語字幕放送)の変更内容

スマックダウンは「#853」放送まで現状通り2時間放送ですが、1月11日初回放送予定の「SMACKDOWN #854」より放送時間が1時間のダイジェスト番組に変更されます。また日本での番組名は「アフターバーン」となるようです。

放送日程は今までと変更なく、初回放送は月曜の午後6時00分からです。

★NXT(日本語字幕放送)の変更内容

NXTは「#312」まで放送されますが、2016年は放送が打ち切りとなり、「#313」以降の番組は「J SPORTS」で放送されなくなります。

なお、WWEネットワークではNXTを視聴できますが、前述の通り英語版のみの放送で日本語字幕は付きません。

★レギュラー番組の短縮は痛い

上記のように「J SPORTS」では放送内容が変更となります。「J SPORTS」に対して文句を言ってる人も散見されますが、普通に考えたら「J SPORTS」も被害者的立場なわけですよ。最も被害をこうむるのはWWEファンである日本の視聴者なのは間違いないんですけど。

PPVを見るためにお金を払うのも、RAWやスマックダウンなどのレギュラー番組を見て、ストーリーラインを把握してからでなければ面白さが半減しちゃうわけですので(PPVはレギュラー番組を見てなくてもストーリーがある程度つかめるような構成にはなってますけど)、入門編という意味でもレギュラー番組は重要なはずなんですけど、どうするつもりなんですかね、WWEは。

WWEネットワークでRAWやスマックダウンをリアルタイム放送してくれるのであれば、今まで通りレギュラー番組からPPVへの導入がスムーズにいくとは思うのですが、なんせ日本語字幕に対応していませんから、内容を把握したいなら結局は「J SPORTS」の番組を楽しむしかないわけです。

一時期、RAWが本国アメリカの番組を2時間に短縮して放送していましたが(今回と同じ措置ですね)、その時は当然ながらストーリーの一部が日本では放送されなかったため、PPVなどで「なんだこれ?」となる展開もありました。その後、現在の3時間放送に戻って安堵したのですが、また短縮ですよ。しかもスマックダウンに至ってはダイジェスト編集ですからね。ガッカリですわ。

「熱い情熱を持って応援してくれるファンが多い日本は、WWEにとって戦略的に非常に重要なマーケットです。私達は『WWE』というブランドを国際的に発展させることを目標としています。WWEネットワークの全世界での展開は、その目標を達成するためにきわめて重要なのです」WWE最高戦略及び財務責任者ジョージ・バリオスはこう述べています。

(WWE日本版公式サイトより引用)

本当に「日本は戦略的に非常に重要なマーケット」だと考えているのであれば、今回のアレコレは逆効果じゃないかなあ。そんな気がしてならないのだけど。

コアなファンはなんだかんだでWWEネットワークに加入するでしょうし(私も加入しますよ)、日本語字幕がなかろうが見るでしょうけど、ライトなファンは「意味分からないなら見なくていいわ」と考えてWWEネットワークに加入などしないだろうし、入門編とも言うべきレギュラー番組の内容を薄くしてしまったら新規ファン開拓など出来ないですよ。

日本語字幕の問題とレギュラー番組の短縮問題。この2点は相当に重く、大きいと考えます。

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WWEネットワークの視聴方法

2016年の日本におけるPPV放送がWWEネットワークのみになってしまうのか、それとも今年と同様にスカパーやDMM.comでも配信されるのかは分かりませんが、PPV視聴のみで考えれば(日本語字幕の問題はありますが)WWEネットワークでの視聴が費用的には最も安いです。

加入を検討中の方々は、日本公式サイトにて「加入ガイド」が公開されています。アメリカのWWE公式サイトでアカウントを取得しなければならないようですね。

あと、「PayPal」のアカウントを持っていれば支払いが簡単に済みます。「PayPal」って危ないんじゃないの? という意見も読みましたが、PayPalの名前をかたった詐欺メールが送信されてくる場合があるので(私も過去に詐欺メール来ました)、それに引っ掛かりさえしなければいいだけです。「PayPal」自体は心配ありません。

視聴可能なデバイスとして、以下のものが挙げられています。

◆PC、Mac
◆iOS(iPhoneやiPadでWWE公式アプリを使用)
◆Android(WWE公式アプリを使用)
◆Apple TV
◆PlayStation 3、PlayStation 4
◆Xbox One、Xbox 360
◆Amazon Kindle Fire
◆Amazon Fire TV

パソコンで視聴する人は特に何も用意する必要はなさそうです。テレビで見たい人は、視聴するためのデバイスが必要になりますね。最も安いのは「Amazon Fire TV」になるのかな。

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ということで、私も早速「fireTV stick」を購入しました。準備万端です。

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