さようなら、ダニエル・ブライアン

Daniel and Brie

via:Instagram

涙の引退スピーチ

ダニエル・ブライアンが現役引退を発表したRAWの放送回が日本でも字幕版で放送されました。

(番組レビュー、引退スピーチ文字起こしなどは「RAW#1185」にて)

いやあ、泣きました。リング上で現役引退を発表した選手といえば、最近だとエッジがいます。しかし私がWWEを「J SPORTS」で本格的に観戦し始めたのは、エッジが引退を発表した2週間後だったんです。なので、選手がリング上で引退発表するシーンを見るのは今回初めてだったのですが、こんなにも感傷的になるとは思いませんでした。

引退スピーチは番組のラストに行われました。登場前、バックステージで祈るようなブライアンと、彼の背中に優しく手を置く妻ブリーのスナップがインスタグラムにアップされています。

@bryanldanielson and @thebriebella prepare for The YES! Man's final address to the #WWE Universe.

WWEさん(@wwe)が投稿した写真 –

2年前、今回と同じ会場でブライアンの父親が生前最後のWWE観戦に訪れたそうで、その時に観客が起こした奇跡についてブライアンが語り始め、こらえられず泣き始めたとき、私も号泣してしまいました。

「明日からレスラーではない生活が始まるが、今夜はまだレスラーだ」

万感の思いでイエス!ポーズを繰り返すブライアンと、この時間を惜しみながらブライアンと共に叫ぶ観客。

妻ブリーも登場して、リング上の夫ブライアンと何度もキス、そして抱擁。ブライアンと同じく妻ブリーも、彼の引退に至るまでの苦しみを分かち合い、とてもツラい時間を過ごしたはずなので、言葉では言い尽くせない想いがあったのではないかと想像します。

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好青年キャラから権威を手にした横暴ヒールに変貌

ブライアンがNXTに登場し、ミズを師匠格としてWWEのストーリーラインに加わった頃、私はWWEを見ていません。ヒールユニット「ネクサス」で暴れていた頃のブライアンも情報でしか知りません。

それ以前に、日本にも来日してた時期の彼も見ていません。KENTAとタイトルを賭けて闘ったり、アメリカン・ドラゴンというリングネームを用いていたことは知ってるけれど、実際にリアルタイムでその姿を見てはいないのです。

ブライアンを意識し始めたのは、2011年のPPV「マネー・イン・ザ・バンク」でマネー権を獲得した前後の頃。いかにも好青年というキャラのブライアンがマネー権を獲得し、行使して世界王座を獲得。この時に自らの偉業をアピールするため「イエス!」ポーズを始めた。

大巨人、ヘンリーと三つ巴の抗争を開始し、このタイミングでヒール転向。ストーリー上の恋人、AJ・リーに暴言を吐くようになり、王座陥落の原因をAJのせいにして一方的にポイ捨て。

この破局で精神錯乱キャラとなったAJがキス魔となって様々な選手に色仕掛けで小悪魔っぷりを発揮。嫉妬なのか何なのか、翻弄された挙げ句に惚れ直したブライアンがAJに再接近し、遂にはプロポーズ。それを受けたAJとブライアンは、RAW1000回記念の特別番組にて晴れてリング上での公開結婚式。

しかしその最中、AJがブライアンを裏切り、精神的に大ダメージを受けたブライアンが今度は精神崩壊。この辺りのストーリー展開、好きでした。両者の壊れっぷりは一時期のWWEにおけるストーリーの核となっていましたから。

ブライアン人気を不動のものにした「チーム・ヘル・ノー」

AJに婚約破棄されて精神崩壊したブライアン。トレードマークだった「イエス!」を観客が(ブライアンをからかう意味で)叫ぶと頭をかきむしり、自身が「ノー!」を連発するようになり、フィニッシャーの技名「イエス・ロック」を「ノー・ロック」と改称するほどの混乱っぷり。

激しく抗争するようになったケインとブライアンの精神的な問題を解決するため、シェルビー医師によるセラピーを二人揃って受診するようになり(解説のJBLは現在も、アンブローズが情緒不安定になった時などに「シェルビーに診てもらえ」などと言います)、シェルビー医師の助言によりタッグ結成。

しかしタッグは組んだもののチームワークは最悪。試合中も口論ばかりのケインとブライアン。でもなぜか試合は勝ち続け(コーナーのブライアンを味方のケインが突き落としたら、たまたま対戦相手の上に落ちてフォール勝ちとか)、最後にはタッグ王者になってしまう。それでもお互いに「俺だけがタッグ王者だ!」と英文法もルールも完全無視して2つのベルトを独り占めしようとするなど、仲良くなる気配は全くなし。

ファン投票によりチーム名が「ヘル・ノー」と決まってからも相変わらず。でもブライアンとケインのコミカルなやり取りがウケ始め、ヒールユニットだったはずがいつの間にかベビーフェイス扱いとなり、あれだけ「イエス!」を嫌ってたはずのブライアンが、ケインとの見事な連携でタッグ王座を防衛した直後、リング上で自ら「イエス!」ポーズを連発し、会場の熱気が大爆発したのは圧巻でした。あの頃からブライアンは絶対的な人気を確立していった気がします。

ヘル・ノー解散、シングル転向、そして頂点へ

タッグ王座から陥落し、ケインとの仲間割れストーリーが始まり、「俺はヘル・ノーの弱点で、ケインの足を引っ張ってると思われている」という被害妄想から奮起するストーリーを経て、シングル路線に変わってから大躍進。権力者やオートンと抗争し、観客の絶大な声援を背にレッスルマニアで奇跡の2連勝を果たしてWWE世界王座を獲得。ここが彼のキャリアの頂点でした。

その後、首の負傷が悪化して長期欠場。ようやく復帰したものの脳しんとう発生して再び長期欠場。そのまま復帰が認められず引退となってしまった。

2015年のロイヤルランブル戦はロマン・レインズが優勝したことで大ブーイングを浴びることになったのですが、その理由の1つは「団体側による露骨なレインズのプッシュを観客が嫌悪したから」であり、もう1つは「この試合で長期欠場からようやく復帰した我らのブライアンが早々に脱落した」からでした。

ブライアンが脱落して以降の会場の空気は明らかにおかしくなり、そういう意味ではレインズが気の毒だったし、団体側もなんとか観客を納得させる意図があってか、続くPPV「ファストレーン」ではレインズとブライアンの一騎打ちを決定。

「ファストレーン」ではブライアンが敗れ、勝者レインズを称えたことにより幕引きを測った(レインズへの反感を収めようとした)ものの、全く収まらなかったため、続く「レッスルマニア31」ではガス抜き的にIC王座争奪戦が組まれ、ブライアンが王者になりました。

しかしIC王座を巡る数々の激闘に身体がもたず、結果的に再び王座返上、そして長期欠場、遂には現役引退となってしまったのは何とも皮肉というか…。

今後のブライアンはどうなるのか

ブライアン本人は復帰する気マンマンだったと聞きます。実際に引退スピーチでも「団体側が許可すればすぐにでも試合に出るつもりだった」と語っていました。

「俺は好きでこの仕事をやっている。だからWWEやファンは責任を感じることなどない」とブライアンは語ったし、これは偽りのない本音だろうけれど、一方では復帰に賭ける意気込みが報道で何度か伝わってきていただけに、この若さでの引退は悔しくてたまらないはず。

しかし、これもブライアン自身が語ったように、母親、姉、そして何よりも愛する妻のブリーのため、新しい人生を歩まなければならないし、命を大切にしなければならない。

まだWWEとの契約が残っているそうなので、時々はゲストや番組ホストといった形で番組に登場するのかもしれません。WWEでエージェントやコーチとして第2の人生を始めるのかもしれない。

ファンとしては、今後もWWEに残って、時々は番組に登場して、観客の「イエス!」チャントを聞いてニヤニヤしながら喜ぶ機会をまた経験して欲しいし、その場面を我々ファンにも見せて欲しいと願うばかりです。

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WWEネットワークでもブライアンの特集が組まれています

RAW#1185」の最後では、リングサイド最前列で観戦していたブライアンの母親や姉とハグした後、再び観客の大声援に応えてイエス!ポーズ。ここで番組は終了しました。

番組終了後には、ストーリー上で敵対していたHHHを始め、ビンス会長、そしてベビーフェイスやヒールに関係なく仲間であるWWEスーパースターやディーバがステージに集結し、ブライアンにエールを贈るイエス!ポーズを繰り返したようです。

Here's to you, @bryanldanielson. #YESYESYES #ThankYouDanielBryan

WWEさん(@wwe)が投稿した写真 –

RAW放送終了直後からの未放送映像は「WWEネットワーク」で公開されています。ビンス会長が笑顔でブライアンをハグしたり、ストーリー上では敵対して憎悪むき出しだったステファニーが目を真っ赤にして泣いていたり。こんなの見たらこっちも泣くに決まってるじゃないか。

この映像を含むダニエル・ブライアンの総集編とも言うべき映像集がWWEネットワークのコンテンツとして加わっています。

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▲ WWEネットワークのメニューバー「SHOWS」→「COLLECTIONS」の中に「Daniel Bryan’s Greatest Moments」というのが追加されています(上の画像はPCブラウザのスクリーンショット)。

内容としては、

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◆トライアウトマッチ(2000年2月8日)
◆WWEデビュー戦(2010年2月22日)
◆マネー権を獲得(2011年7月17日、PPV「マネー・イン・ザ・バンク」)
◆マネー権行使、初の世界王座獲得(2011年12月18日、PPV「TLC」)

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◆ブライアン&ケインの怒り抑制セラピー(2012年8月27日)
◆ヘル・ノー、仲間割れしたのにタッグ王座を獲得(2012年9月16日、PPV「ナイト・オブ・チャンピオンズ」)
◆ヘル・ノー、レストランでの爆笑セラピー(2012年9月24日)
◆ワイアット・ファミリー入り、そして逆襲(2014年1月13日)

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◆ファンと共にRAWのリング占拠(2014年3月10日)
◆オートンvsバティスタvsブライアン、感動の王座戴冠(2014年4月6日、PPV「レッスルマニア30」)
◆ブライアン&ブリーの結婚式(2014年6月1日)
◆IC王座争奪ハシゴ戦(2015年3月29日、PPV「レッスルマニア31」)
◆ブライアン、別れの言葉(2016年2月8日、RAW#1185放送終了後の未公開映像

というのが主なラインナップ。感動的だったレッスルマニアの戴冠劇など懐かしい名場面もあり、「TOTAL DIVAS」で放送され日本では未公開だったブリーとの結婚式映像もありと、ファン必見の内容になってます。

WWEネットワークの加入方法などは以下記事を参考に。(私が運営している別ブログの記事です)

日本でも提供開始されたWWEネットワークに登録してみました : りくまろぐ

WWEネットワークをテレビで鑑賞したい場合は「Fire TV Stick」が安くて便利です。私もこれで鑑賞しています。

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